マスターテープがなくなって、実は良かったかもしれない話
デザイナーのせっちゃん、月刊「Player」の北村さん、ベーシストのトーベンからも話を聞いていた「針を使わないアナログ盤プレイヤー」の音を聴きに行ってきました。
「レーザーターンテーブル」
これを製造しているのはエルプさん。行く前までCDの音が無敵だと思っていた私は自分のレコード盤の音を聴いて震えた。自分でも驚くくらい震えてしまいました。
音を聴かせてくれたのは竹内さん。
事情を説明すると
「マスターテープがなくなって良かったかもしれませんよ、ほら」
と、音を出してくれた。
ずんと体の中に響く、すぐそこにバンドセットがあるかのような錯覚。音が立ってる!
これだと茶柱みたい。つまりは音が立体的なのです。この気持ちの良い感覚はレコーディングスタジオにいるときのあの感覚とそっくり。
CDと比較するとその差は歴然。最近、レコードブームが沸き起こっているのも納得です。
「よくできているので、このままノイズを取るだけで良さそう」
このノイズは盤の傷ではない。盤にする前にこびりついた傷だ。
それまでの時間もレーザーターンテーブルや音について、たくさん説明していただいたのに、さらにまたここからノイズをどうとるのか、とったらどうなるのか、言葉と耳で教えていただきました。
滞在時間は…書けないくらい。もう何時間もお邪魔してしまいました。
恥ずかしながら、私の家にはレコードプレーヤーがない。
だから実は、『赤色人形館』も『パンドラの呪文』も30年近く聴いていなかった。
ここエルプに滞在した数時間で変化したのは、「参加してくれたミュージシャンの音を残したい」と思っていた気持ち。
今は「一人でも多くの人にこの音を聴いてもらいたい」と強く思っています。
マスターがなくなった、というレコード世代のミュージシャンはレーザーターンテーブルを選択肢のひとつに入れたら良いかもしれません。
最もこだわりたかった音について、大きく前進したかも。まだいくつもある工程のうちの最初の1の始まりですが、とっても大切な1です。
そして『赤色人形館』と『パンドラの呪文』に謝りたい。30年以上も放ったらかしにしてごめんね。当時の私、参加ミュージシャン、協力してくれた皆さん、みんなみんなごめんなさい。
ななきさとえ
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